DeFiの利回りは費用を引くといくら?|手数料・為替・元本変動を分けて記録
「利息は増えたのに、円に戻すと減っていた」。この違いを調べるには、表示年率よりも、投入した資産、増えた数量、支払費用、最後の受取額を並べる方が役立ちます。
公式資料の確認日:2026年10月3日(日本時間)。
この記事の目次
読む前に:対象と前提
この記事では、一つの架空の30日台帳で、利息と元本の評価、ドルと円、回収済みと未回収を分けます。APR・APYや貸付の仕組みから確認したい方は、先にDeFiの基礎ガイドを読めます。接続や入金は、この記録練習に必要ありません。
以下の金額・年率・価格はすべて説明用の仮定で、現在の条件や運営者の実績ではありません。
最初に、何の成績を測るか決める
貸付先で増えたトークン数量と、生活費として使える円の増減は、別の成績です。台帳には「元本の数量」「利息・報酬の数量」「その時点の価格」「実際に払った費用」「回収先」を残します。自分の口座間で元本を移しただけなら、その金額を損失にしません。
利息は数量の増加として記録し、回収・売却の状態を別欄にします。売っていない資産の値上がり・値下がりは未実現の評価損益、売却した分の価格損益は実現したものとして区別します。利息が残高に加わっていても、円を受け取ったことにはなりません。ここでの区分は運用を振り返るための整理で、税務上の所得計算を示すものではありません。
たとえばAaveでは、供給した資産の残高に利息が加わり、供給金利は資金の利用状況などで変わります。開始時の表示を、そのまま期間中の収益として台帳へ入力しないことが大切です。Aave公式の供給・金利説明
架空例:表示年率18%でも、費用後はマイナス
借入や追加報酬のない貸付を30日で終了する例です。開始時にAPR 18%と表示されていたものの、期間中の条件は変動し、実際に増えた数量は10 USDCだったと仮定します。18%から利息を逆算する例ではありません。
- 貸付元本:2,000 USDC。期間中は1 USDC=1ドルと仮定。
- 開始時のドル円:150円。終了時:145円。
- 30日後に元本と利息の計2,010 USDCを回収し、すべて円に売却する。
- 各操作時のETH価格は2,500ドルと仮定。元本以外の必要なガス残高も用意済みとする。
- 税金は含めない。価格への影響やスリッページはゼロという仮定で、費用は次の明細だけとする。
表は横にスクロールできます。
| 時点 | 実際に支払った項目 | ドル相当額 | 支払時の円換算 |
|---|---|---|---|
| 開始日 | 取引所の出金手数料 | 2.00ドル | 300円 |
| 開始日 | 承認のガス:0.0004 ETH | 1.00ドル | 150円 |
| 開始日 | 供給のガス:0.0016 ETH | 4.00ドル | 600円 |
| 30日後 | 回収・送金2件のガス合計:0.002 ETH | 5.00ドル | 725円 |
| 30日後 | 円へ売却する際の取引手数料 | 3.00ドル相当 | 435円 |
| 30日後 | 円の出金手数料 | 3.00ドル相当 | 435円 |
| 合計 | 18.00ドル相当 | 2,645円 |
円で払った売却・出金手数料は、支払時の仮レートでドル相当へ換算して表示しています。元本2,000 USDCは出金手数料控除後に供給できた数量です。開始時の費用7ドルと終了時のガス5ドルは別の残高から支払い、売却・円出金の計6ドル相当は売却代金から差し引かれたとします。この支払元を残すと、後で口座残高と照合できます。
Ethereumのガスは処理に必要なネットワーク費用で、ETHで支払います。ここでは仮のETH価格で換算しましたが、実際の台帳には支払ったETH数量と処理時の換算価格も残します。Ethereum公式のガス説明
まずドル基準では、利息10ドル相当から費用18ドル相当を引き、差引きは−8ドル相当です。元本に対して利息は30日間で0.5%、費用後は−0.4%。開始時の高い表示年率と、今回の短期間の結果は一致するとは限りません。
表示年率から、期間の実績へ読み替える
架空の30日台帳では利息10 USD相当が増えても、実費18 USD相当を引くと8 USD相当のマイナス。期間収益は費用前0.5%、費用後−0.4%です。
前提と費用の扱い:元本2,000 USDC、1 USDC=1 USDの架空例。開始時のAPR表示18%から利息を計算していません。費用は各処理時の仮価格でUSD換算し、一部は元本と別の残高から支払った仮定。為替・税金を除くUSD基準の整理。現在の年率や将来の収益を示しません。
円の結果を、利息・為替・費用に分ける
開始時の元本は2,000×150=300,000円。終了時の元本部分は2,000×145=290,000円で、為替だけで10,000円減っています。利息10 USDCの売却時評価は10×145=1,450円です。
したがって、費用も含めた元本に対する差引きは、利息1,450円−元本の為替差10,000円−費用2,645円=−11,195円。トークン数量が増えても、円の結果が増えるとは限りません。
実際の着金との照合もできます。売却前の評価291,450円から、売却・出金手数料870円を引いた銀行着金は290,580円。ここから別の残高で支払った開始費用1,050円と終了ガス725円を考慮すると、300,000円の元本に対して差引き−11,195円となります。着金額からすでに引かれた870円を、もう一度引かないことが確認点です。
円の差引を、利息・為替・費用に分ける
利息+1,450円、元本の為替差−10,000円、費用−2,645円を合わせると−11,195円。銀行着金290,580円から元本と別残高の支払1,775円を引いても同じ結果です。
前提と費用の扱い:開始時150円/USD、終了時145円/USD、USDCが1 USDを維持すると仮定。開始元本300,000円、終了時元本評価290,000円。税金・スリッページを除外。銀行着金に反映済みの870円を再控除しません。実際の為替・USDC価格を保証しません。
この例はUSDCが1ドルを保つ仮定です。実際には第三者の市場で価格が1ドルから離れることがあり、発行元への直接償還にも条件があります。為替とUSDC自体の価格変動を、同じ原因としてまとめないでください。Circle公式のUSDC条件・リスク開示
スワップの受取量から、費用を二度引かない
スワップを使った台帳の場合は、実際に受け取った数量を記録の出発点にします。スワップ手数料や不利な約定価格が、その受取量に反映されていれば、受取額から同じ費用を重ねて引きません。内訳欄に記録しても、集計欄で再控除しない扱いにします。
見積もりと実際の受取量の差は、理由を調べるための情報です。スリッページの「許容幅」は実費ではありません。画面に1%と表示されていても、一律1%の費用として計上しないでください。ネットワーク費用は別の残高から払うことがあるので、受取量に含まれていないガスだけを追加します。Uniswap公式のスリッページ解説、LP手数料の説明
今回の例では、売却前の評価額を使って手数料を別控除する方法を採りました。手取り額を使う方法へ途中で切り替えると、二重控除が起きやすくなります。
LPは、報酬だけでなく持分の残高を記録する
LP(流動性提供)を記録する場合は、報酬の表示だけから成績を決めません。終了時の持分に対応する各トークンの数量を、その時点の価格で評価します。手数料収入が持分の残高に含まれる方式なら、その分を収益として再加算しないことが必要です。別に請求する報酬なら、未請求・請求済みを分けます。
比較相手も残します。「開始時の資産をそのまま持っていた場合」を、同じ終了時価格で評価し、LPの残高と比べます。そのうえで追加報酬、ガス、回収・交換費用を整理します。初期元本との比較と、保有した場合との比較は、答える問いが違います。仕組みや手数料の扱いはバージョンごとに確認してください。Uniswap v2公式のLP収益・保有比較の説明
回収していない評価額を「引き出した利益」にしないことも大切です。Aaveの供給でも、引出可能な流動性や借入の担保としての利用状況によって回収に制約があります。Aave公式の引き出し条件
台帳を閉じる前の三つの確認
- 期間と通貨をそろえる。開始・終了時刻、元本の追加・引出、各価格の基準を残す。
- 利息・元本評価・費用を分ける。実現したもの、未売却・未回収のものを区別する。
- 手取りと明細を照合する。元本移動や、受取額に含まれる手数料を重ねて引かない。
表示年率を見る前に、前回使った資産がどこに残り、実際にはいくら回収できたかを確認できます。数字が合わない場合は、次の運用を追加する前に、未記録の支出や残高を探すところから始めましょう。

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