DeFiの使い方|利回り・清算・LPの仕組み

02 / DeFiの基礎ガイド

DeFiの使い方
資産と収益の流れ

交換・貸付・借入・流動性提供の仕組みを、費用と数字から理解する。

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このガイドの読み方と到達点
対象者

ウォレットの基本が分かる方へ

交換・金利・借入・LPの画面を読みたい方に。

読む目安

30〜45分

図と理解確認を含む目安。リンク先の資料確認は別途。必要な章だけでも読めます。

読後に

費用と条件まで整理できる

年率・清算・ILを、具体的な数字で読み解く。

このページで分かること

  • 交換・貸付・借入・流動性提供で、収益と損失が生まれる仕組みを区別できる
  • 表示年率の違い、清算される条件、保有した場合との価値の差を数字で読み解ける
  • 往復費用と引き出し条件を、利回りと分けて確認できる

対象:ウォレット・ネットワーク・署名の基本を理解し、DeFiの画面を読みたい方へ。

DeFiを使う前に知っておきたいのは、利回りの高さよりも「資産がどこへ移るか」「何の対価として収益が生まれるか」「どの条件で損失が出るか」です。

このページでは、スワップ、貸付、担保付き借入、流動性提供を、具体的な数字で説明します。

対象は、ウォレット・ネットワーク・署名の基本を理解し、DeFiの画面を読めるようになりたい方です。

まだ曖昧な場合は「暗号資産の基本」から確認してください。

口座開設やウォレット接続をしなくても、最後の確認練習まで進められます。

参照確認日:2026年10月3日(日本時間)。

数値はすべて説明用の仮定です。

実際の金利・価格・担保条件は、サービス、バージョン、ネットワークごとに異なります。

式や条件を確かめながら読む場合は、目安より時間がかかります。目次から必要な章だけ読んでも構いません。

1 DeFiでは誰が何を動かしているのか

DeFiは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを利用する金融の仕組みの総称です。

スマートコントラクトは、定められた条件に従って処理するプログラム。

ウェブサイトは主に操作の入口で、資産の移転や残高の記録は、その先のコントラクトで処理されます。

基本の流れは「利用者 → ウォレットで確認・署名 → コントラクトが処理 → 公開記録で結果を確認」です。

自己管理型ウォレットを使っていても、貸付や流動性提供で預けた資産はコントラクトのルールに従います。

管理者権限、外部価格データ、画面を提供する事業者などへの依存もあり、「分散型」という名前だけで安全性は判断できません。

参照:EthereumのDeFi解説、Aave V3の仕組み

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2 まず四つの使い方を分ける

比較表が画面に収まらない場合は、表の中を左右にスクロールして読めます。

まず四つの使い方を分ける
操作何をするか対価や目的特に確認する費用・損失要因
スワップあるトークンを別のトークンに交換資産の交換交換手数料、ガス、価格への影響
貸付・供給貸借用のプールに資産を供給主に借り手が払う利息変動金利、引出可能額、資産・契約のリスク
担保付き借入資産を担保に別の資産を借りる資産を売らずに借入資金を得る借入利息、担保価格の変動、清算
流動性提供交換用のプールに資産を供給主に利用者が払う交換手数料保有数量の変化、IL、管理費用
貸借と交換では、プールの役割と資金の流れが違う

貸借用プールでは供給者の資産を借り手が借り、借り手は担保を預け、返済と利息を支払います。供給者の引出・利息には条件があります。交換用プールではLPが資産を提供し、交換利用者はBを入れてAを受け取ります。交換手数料の一部がLPの収益になる設計があります。

供給・借入・交換は、それぞれ目的に応じて選ぶ使い方です。二つのプールを続けて使う手順ではありません。

貸借用プール

資産を貸したい人と、担保を預けて借りたい人をつなぐ

供給者貸借用の資産を供給
貸借用
プール
利息は主に借り手から
借り手担保を預けて資産を借りる

担保と借りる資産は、同じとは限りません。担保の管理方法、借入条件、供給者が引き出せる量はサービスごとに確認します。

交換用プール

二つの資産を交換するための流動性を用意する

流動性
提供者(LP)
交換用の資産を提供
交換用
プール
例:トークンAとB
交換利用者Bを入れてAを受け取る

手数料の配分や収益の受取方法は仕様によります。LPの資産数量も交換によって変わり、貸付の利息とは仕組みが異なります。

代表的な仕組みを簡略化した図です。「プール」という同じ言葉でも、貸借と交換では資産の用途・収益・損失の条件が異なります。

ここでいう「プール」は、複数の利用者の資産をまとめたものです。

同じ名前でも、貸借用と交換用では役割が違います。

貸借用プールでは、供給者の資産を借り手が利用し、借り手が利息を払います。

交換用プールでは、利用者が一方のトークンを入れ、もう一方を受け取ります。

流動性提供者(LP)は交換に必要な資産を用意し、利用者が払う手数料の一部を受け取ります。

どちらも資産を預けますが、収益の出どころと残高が変わる理由は違います。

銀行預金と同じ元本保全や払戻しの条件を想定せず、その商品の説明を読みます。

参照:Uniswapの交換と流動性提供、LPの手数料収入と数量の変化、Aaveの供給

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3 スワップはプールの中身を変える

スワップは、あるトークンを別のトークンに交換する操作です。

分散型取引所(DEX)で使われる代表的な自動マーケットメーカー(AMM)では、利用者が交換用プールに一方のトークンを入れ、もう一方を受け取ります。

プール内の数量が変わると、計算上の交換価格も変わります。

これが、自分の注文によって起こる「価格への影響(Price Impact)」です。

たとえば、100 Aと10,000 Bが入った単純なプールに1,000 Bを入れると、受取量は約9.09 Aです。

交換前の比率が「1 A=100 B」でも、10 Aをそのまま受け取れるわけではありません。

自分の注文がプールの中身と価格を動かすためです。

スワップで、プールの残量と受取量が変わる

100 Aと10,000 Bのプールに1,000 Bを入れると、数量の積を一定に保つためAの残量は約90.91枚となり、利用者は約9.09 Aを受け取ります。

  1. 交換前のプール100 A
    10,000 B
    数量の積は1,000,000
  2. 利用者が入れる1,000 BBの残量は11,000枚へ
  3. 交換後のプール約90.91 A
    11,000 B
    数量の積を一定に保つ
利用者が受け取る約9.09 A100 A − 約90.91 A

手数料なしの単純な定積型モデルです。集中流動性などは扱っていません。すべてのDEXにそのまま適用できる計算ではありません。

架空例:1,000 Bを入れると何枚受け取るか

この例では、AとBの数量の積を一定に保つ定積型モデルを使い、手数料を除き、価格範囲の制限がないと仮定します。

集中流動性などを使う仕組みには、そのまま当てはまりません。

すべてのDEXに使える計算ではありません。

計算を確かめる

この架空例の受取量:約9.09 A。

9.09 Aになる計算を見る
  • 交換前:100 A × 10,000 B = 1,000,000
  • 1,000 Bを入れた後:Bは11,000枚
  • Aの残量:1,000,000 ÷ 11,000 ≒ 90.91枚
  • 受取量:100 − 90.91 ≒ 9.09 A

この交換用プールに資産を出す側が、第6章の流動性提供者です。

参照:UniswapのAMMと価格計算、Price Impactの説明

スリッページとの違い

スリッページは、見積もり時点と実際の成立結果の差です。

待っている間の相場変動や他の取引などで生じます。

一方、価格への影響は自分の注文が価格を動かす部分で、通常は見積もりにも織り込まれます。

両者を同じ手数料として足し算すると、費用を二重に数えることがあります。

説明用の架空画面・取引できません。

仮に「見積もり受取量」が100枚、「最小受取量」が99枚と表示されているなら、前者は受け取る見込み、後者はこれ未満なら成立させない下限です。

表示名はサービスによって異なります。

交換画面では「見積もり」と「成立を認める下限」を分けて読む

説明用の架空画面です。見積受取量100枚は現在の条件での見込み、最小受取量99枚はこの例で成立を認める受取量の下限です。価格への影響は自分の注文が価格を動かす部分。ネットワーク費用は別に確認します。この図から取引はできません。

説明用の架空画面この図から取引はできません
見積受取量
100枚

見積もり時点の条件による見込みです。確定した受取量ではありません。

最小受取量
99枚

この例で、成立を認める受取量の下限です。見積もりの100枚とは役割が違います。

価格への影響
自分の注文による価格変化

通常は見積もりに織り込まれます。別の手数料として重ねて引かないようにします。

ネットワーク費用
別に確認する費用

処理に必要なガスなどです。受け取る数量と、支払う費用を分けて確認します。

100枚・99枚は表示の意味を学ぶための仮定です。推奨する許容幅や、現在の料率・見積もりを示していません。実際の画面では、費用がどこに含まれるかも確認します。

99枚は利益を保証する数字ではなく、この取引で受け入れる受取量の下限です。

許容幅を大きくすれば不利な条件でも成立しやすくなり、必ず有利になるわけではありません。

小さすぎれば失敗しやすく、ブロック上で実行された失敗にはガス代がかかる場合があります。

参照:Uniswapのスリッページ解説、失敗時のガス費用

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4 貸付の金利と引き出し条件

貸付サービスでは、供給された資産を借り手が利用し、利息を払います。

貸し手と借り手は、同じ貸借用プールの反対側にいます。

Aaveのように、資金の利用率などに応じて金利が変わる仕組みもあります。

画面の年率は、その数字が1年間続く約束とは限りません。

収益の出どころ貸付の利息と、交換の手数料は別の経路

01 貸付で受け取る利息

借り手資産を借りる対価として
利息を支払う
貸借用プール利息を仕様に沿って
配分する
貸し手供給した資産に対する
利息を受け取る

残る条件:変動金利・引出可能な量・供給資産と契約のリスク。

02 流動性提供で受け取る交換手数料

交換する人トークン交換の対価として
手数料を支払う
交換用プール手数料を仕様に沿って
配分する
流動性提供者(LP)手数料の配分を受ける
保有数量も変わる

残る条件:保有との価値の差(IL)・価格範囲・資産と契約のリスク。

出どころを比べる概念図です。配分方法や追加報酬はサービスごとに異なります。矢印は収益の経路を示し、元本や将来の収益を保証しません。

要点:「何%か」と一緒に、「誰が何の対価として払うのか」を確認します。

また、残高と「今すぐ引き出せる量」は同じとは限りません。

プール内の多くの資産が貸し出されている場合や、自分の借入の担保に使っている場合には、引き出しに制約があります。

入口の利回りと一緒に、出口の条件を読みます。

参照:Aaveの金利と供給、Aaveの引き出し条件

APRとAPYを数字で比べる

一般的に、APRは複利を含めない年率、APYは利息を再投入する複利の効果を含めた年率です。

ただしDeFiの表示では、報酬トークン、手数料、自動再投資の有無、計算期間などがサービスによって違うため、算出条件の確認が必要です。

一定の金利を仮定した年率と短期費用の例

仮に1,000枚をAPR 12%で1年間運用し、金利が一定なら、結果は次のように分かれます。

  • 利息を再投入しない:利息120枚、合計1,120枚
  • 月利1%で毎月再投入する:合計は1,000 × 1.01^12 ≒ 1,126.83枚。APYは(1.01^12 − 1)× 100 ≒ 12.68%

計算上の差は約6.83枚です。現実には変動金利、再投資の費用、報酬の価格変動などが結果を変えます。

短期の費用も見てみましょう。

仮に1,000ドル相当を年率6%の単利で30日運用し、1年を365日とすると、利息は1,000 × 0.06 × 30 ÷ 365 ≒ 4.93ドルです。

入出金などの合計費用が8ドルなら、価格変動を無視しても差引きは4.93 − 8.00 = −3.07ドル。

年率だけでは、短期間の損益は分かりません。

短期費用の架空例30日の利息より、往復の費用が大きい場合

元本1,000ドル・年率6%・単利・30日・1年365日。金利一定、価格変動なしを仮定します。

利息 +4.93ドル費用 8.00ドル差引き −3.07ドル

利息は1,000 × 0.06 × 30 ÷ 365 ≒ 4.93ドル。合計費用8ドルは説明用の仮定です。変動金利・報酬の価格変動・再投資費用などで結果は変わります。

要点:年率がプラスでも、短期間の費用後損益がプラスになるとは限りません。

参照:CFPBのAPYと年率の定義、APYの計算に用いる前提。

ここでは一般的な数学上の違いを説明しており、DeFiに銀行預金の保護制度が適用されるという意味ではありません。

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5 担保付き借入と清算

担保付き借入では、返済の裏付けとして資産を預けます。

現在の借入比率(現在のLTV)は「借入額 ÷ 担保価値」です。

担保20万円に対して10万円を借りていれば50%です。

一方、Aaveの公式資料で示す上限LTVは、担保価値に対して新たに借りられる最大割合のパラメーターです。

現在の借入比率、上限LTV、清算しきい値は別々に確認します。

清算は、担保が十分でなくなったときに、ルールに従って担保の一部などを使い、借入を返済させる処理です。

Aaveではヘルスファクター(HF)が1を下回ると清算対象になります。

清算する側への報酬が担保から差し引かれる場合もあります。

架空例:担保価値が下がるとHFはどう変わるか

単一担保の簡略例として、借入額を10万円、清算しきい値を80%で固定し、担保価値の違いを見ます。

HFは「担保価値 × 清算しきい値 ÷ 借入額」です。

担保価値の変化とヘルスファクター(架空例)
担保価値HFこの例での状態
20万円1.60例の開始時点
16万円1.28清算の境界に近づく
12万5,000円1.00境界
12万円0.96清算対象

これは時間の経過を予測した表ではありません。

利息、為替、借りた資産の値動きを無視した単一担保の例です。

HFが1を上回ることは、損失がないことや今後も清算されないことを保証しません。

実際には借入残高の増加や借入資産の価格上昇でもHFは悪化します。

清算の量や手数料はサービスの仕様次第です。

HFに普遍的な「安全な数値」はなく、急な値動きや混雑で返済・担保追加が間に合わない可能性もあります。

借入可能額の最大値は、安全に借りられる額を示すものではありません。

参照:Aave V3の貸借とリスクの仕組み、LTVと清算しきい値の違い、ヘルスファクターと清算

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6 流動性提供とインパーマネントロス

交換用プールに資産を供給する人を、流動性提供者(LP)と呼びます。

交換が行われると、受け取れる手数料とともに、持分に対応するトークンの数量も変わります。

インパーマネントロス(IL)は、同じ資産をそのまま持っていた場合と比べて、流動性提供側の価値が下回る差を指します。

通常は手数料収入などを除いて比べます。

「元本から必ず減った額」とは異なります。

架空例:保有と流動性提供を同じ条件で比較

仮に、1 A=100ドルの時点で1 Aと100ドル相当のBを、50対50の定積型プールに供給したとします。

Bは1枚=1ドルを維持し、手数料なし、価格範囲の制限なしと仮定します。

  • Aが200ドルになったとき、そのまま保有していれば合計300ドル
  • 外部との価格差を使う交換(裁定取引)がプール内の数量比を変え、価格が外部価格に近づくと、持分は約0.7071 Aと141.42 B
  • その価値は約282.84ドルで、保有した場合より約17.16ドル、約5.72%少ない

開始時の200ドルより増えていても、保有との比較では差が生じています。

手数料収入がこの差を上回るとは限りません。

また、名称に「一時的」とあっても、価格が元に戻る保証はありません。

ILは、元本ではなく「そのまま保有した場合」と比べる

開始額はどちらも200ドル。Aの価格が100ドルから200ドルになると、そのまま保有した場合は300ドル、流動性提供では約282.84ドル。保有した場合と比べて約17.16ドル、約5.72%少なくなります。

共通の開始額200ドル1 A(100ドル)+100 B(100ドル)

Aの価格が100ドル → 200ドルに変化

同じ開始資産を、保有とLPで比較

同じ0ドル起点・同じ縮尺で比較

そのまま保有300ドル

流動性提供(LP)約282.84ドル

0ドル開始額200ドル
両方に共通の破線
300ドル

保有した場合との比較:LPは約17.16ドル少ない。
開始額から17.16ドル減った、という意味ではありません。

数量の内訳を確認する

そのまま保有

300ドル

1 A + 100 B

200ドル + 100ドル

流動性提供(LP)

約282.84ドル

約0.7071 A + 141.42 B

約141.42ドル + 141.42ドル

そのまま保有した場合との差約17.16ドル/約5.72%LPの価値も、開始時の200ドルより増えています。

Bは1枚=1ドルを維持する仮定。50対50の定積型で、手数料・追加報酬を除き、価格範囲の制限もありません。集中流動性には、この計算をそのまま使えません。

集中流動性では、提供者が使われる価格範囲を指定します。

価格が範囲を外れると片側の資産だけになったり、そのポジションが交換手数料を稼がなくなったりします。

上の簡単なIL計算を、そのまま当てはめないでください。

参照:Uniswap v2の収益とIL、UniswapのIL解説、集中流動性

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7 利回りとは別に見るリスク

回収までの依存関係自分の資産は、どの仕組みに支えられているか
利用するネットワーク
トークン・発行者価格・デペッグ
移転の制限
オラクル等外部の価格情報
誤り・更新の遅れ
スマートコントラクト 実装・更新・管理権限
自分の資産・ポジション運用と資産の回収に関わる部分を確認

ネットワーク・バージョンを特定して読む

ブリッジを使う場合だけ、依存先が増える別ネットワークとの経路・追加の契約や検証者・資産を戻す条件

依存先を確認するための概念図です。構成や、オラクル・ブリッジの利用有無はサービスごとに異なります。矢印は確認する関係を示し、資金移動の必須手順や普遍的な実装順序を示しません。

要点:利回りや監査の表示だけでは、どこかが止まったときの回収条件まで分かりません。

  • コントラクト:プログラムの不具合や攻撃で資産を失うリスク。監査済みでも、対象のバージョン・範囲・未解決事項を確認します。監査は無事故の保証ではありません。
  • オラクル:外部の価格などをコントラクトに届ける仕組み。価格の誤り、更新の遅れ、操作などが、借入や清算の判断に影響することがあります。
  • ブリッジ:ネットワークをまたいで資産・情報を移す仕組み。追加のコントラクトや検証者への依存、資産を戻せないリスクがあります。
  • トークン:値下がり、ステーブルコインのデペッグ、発行者の移転制限など。貸付やLPの収益とは別に価値を動かします。
  • 操作と承認:偽サイト、過大な利用許可、内容の分からない署名。秘密鍵を渡さなくても、署名した権限が悪用される場合があります。

複数のサービスを組み合わせる場合は、関係する仕組みを一つずつ確認します。

どれか一つの停止や損失が、他の資産の回収にも影響しないかがポイントです。

参照:コントラクトのセキュリティ、オラクルの仕組みと課題、ブリッジのリスク、USDCのリスク開示、署名フィッシング

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8 資金を動かす前の読み取りチェック

公式ドキュメントと、接続せずに見られる市場画面で確認します。この練習では接続や署名をせず読める公開情報だけ使います。

  1. 対象を特定する:サービス名、バージョン、ネットワーク、トークンの公式アドレスが一致するか
  2. 目的と収益の出どころを説明する:何を交換・供給・借入するのか。収益を得る操作なら、借入利息、交換手数料、追加報酬のどれか、何のトークンで払われるか
  3. 費用を一往復で数える:承認、供給・交換、回収・返済、それぞれのガスと利用料。見積もりに含まれる費用を重複計上しない
  4. 出口を確認する:引出可能な流動性、待機期間、売却先、停止条件を公式説明で調べる
  5. 操作固有の数字を読む:スワップは最小受取量と価格への影響、借入はLTV・清算しきい値・HF、LPは価格範囲と手数料条件
  6. 権限と安全対策を確認する:管理者の変更権限、監査の対象、事故時の公式案内先。分からない点は「未確認」と残す

最後に、実際に取引せず、次の四文を埋めてみてください。

  1. 私は○○を差し出し、○○を受け取る。
  2. この操作の目的は○○。収益を得る場合、その出どころは○○。
  3. ○○になると、損失や引き出し制限が起こりうる。
  4. 操作を終える、または資産を回収するには○○が必要。

空欄が残ったところが、資金を動かす前に確認する点です。

参照:Aaveの供給・引き出し情報、Uniswapの公式概念説明

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実例で読む / DeFiの貸付と借入

供給してから回収するまでを、残高と条件で追う

本編の「貸付の金利と引き出し条件」「担保付き借入」を、入口から出口までつなげます。

供給残高は、自分が回収できる持分を示す一方、その瞬間に引き出せる量とは違います。

持分、プールに残る量、自分の借入条件を分けて読みましょう。

Aave V3の一般的な貸借を参考にした学習用の例です。

数値は仮定で、現在の市場・金利・利用可能額や安全な借入額を示しません。

他のDeFi商品や異なるバージョンへ、そのまま適用はできません。

資料確認:2026年10月4日(日本時間)。

1. 供給後は「手元の資産」と「供給した持分」が別の残高になる

供給は、貸借用プールへ資産を移す操作です。

Aave V3の通常のaTokenは、供給した元の資産と利息に対応する残高を記録するトークンです。

元の資産を供給すると発行され、回収すると対応する分が消却されます。

仮に手元のUSDCが1,000枚あり、そのうち600枚を供給したとします。

供給直後の手元USDCは400枚、供給持分は600枚相当です。

別々に表示されても、合計1,600枚へ増えたわけではありません。

同じ資産を二重に数えない:供給と60枚の回収による残高の移動
  1. 供給前手元 1,000枚供給持分 0枚合計 1,000枚相当
  2. 600枚を供給手元 400枚供給持分 600枚相当合計 1,000枚相当
  3. 60枚を回収手元 460枚供給持分 540枚相当合計 1,000枚相当

借入がなく、回収に十分な流動性がある仮定。利息・ガス・価格変動は除いて、持分の移動だけを比較しています。「枚相当」は同じ元資産の数量であり、円やドルの元本保証ではありません。

持分トークンは、追加でもらえる利益とは限らない

aTokenの通常の残高には、元の供給量と発生した利息が反映されます。

元のUSDCと、そのUSDCに対応する持分を重ねて数えると二重計上になります。

報酬として別のトークンが配られる場合は、これとは分けて記録します。

この例は通常のaTokenです。

ラップされた持分など、枚数ではなく交換比率が変わる方式もあります。

名称だけで決めず、何の資産を何枚回収できる仕組みか、公式資料で確かめます。

  • 手元残高、供給持分、別途報酬を別欄に記録する。
  • ネットワーク・市場・持分トークンと、対応する元資産を照合する。
  • 回収後は、持分の減少と手元の受取量を取引履歴で確認する。

参照:Aaveの供給、Aave V3のaTokenとラップされた持分。

2. 利用率は、借りられている割合。自分の利回りではない

利用率は、貸借用プールの資産がどれだけ借りられているかを表す数字です。

ここでは、同じトークンの供給量1,000枚、借入中800枚、プールに残る量200枚という簡略例で考えます。

利用率は800 ÷ 1,000=80%です。

自分の供給持分が300枚あっても、プールに200枚しか残っていないこの瞬間には、流動性だけを見ても300枚の全額回収には足りません。

貸付の持分と、今すぐ送れる元資産の量を分ける理由です。

同じ1,000枚の内訳:借り手が300枚返すと、残る量と利用率が変わる
返済前:利用率80%
借入中:800枚プールに残る:200枚
300枚返済後:利用率50%
借入中:500枚プールに残る:500枚

棒の全長はどちらも1,000枚、同じ縮尺です。借り手による300枚の返済以外は動かず、利息・手数料・準備金などを省いた概念図。後段は返済が起きた場合の比較で、いつ回収できるかの予測ではありません。

利用率80%でも、年利80%という意味ではない

金利は利用率だけでなく、各市場の計算式や設定値で決まります。

Aave V3には利用率のある境目から金利の変化が大きくなるモデルもあり、利用率から金利を単純な比例で求めることはできません。

引出可能な量は、他の人の供給・借入・返済・回収でも変わります。

さらに自分が供給資産を借入の担保にしている場合は、プールに資産があっても自分の担保条件から引出しが制約されます。

  • 同じ資産・同じ市場の供給持分、借入中の量、残る流動性を見る。
  • 利用率と供給年率を別の数字として読む。
  • 流動性不足と、自分の借入による制限を分けて確認する。

参照:利用率と供給金利、Aaveの引出条件、Aave V3の金利モデル。

3. 担保を先に減らせるかは、返済後まで計算して確かめる

返済は借入残高を減らす操作、担保の回収は供給した担保を減らす操作です。

同じ「資産を戻す」つもりでも、ヘルスファクター(HF)への影響は逆になります。

単一担保の簡略式は、本編と同じ「担保価値 × 清算しきい値 ÷ 借入価値」です。

仮に担保が1,000ドル相当、借入が600ドル相当、清算しきい値80%なら、HFは約1.33です。

担保を300ドル分先に回収すると、計算上は700 × 80% ÷ 600 ≒ 0.93。

Aave V3では、回収後のHFが1未満になる引出しはできません。

同じ300ドル分の回収でも、借入が残る量で結果が変わる
返済せず、先に回収する計算
担保:1,000 → 700ドル借入:600ドルのまま回収後の仮計算:HF 約0.93HFが1未満になるため、この引出しはできない
200ドル相当を返済してから計算
  1. まず返済担保:1,000ドル借入:600 → 400ドルHF:2.00
  2. 次に300ドル分を回収担保:1,000 → 700ドル借入:400ドル回収後の仮計算:HF 1.40

単一担保・価格固定・借入利息と費用なし。十分な流動性がある仮定です。後段はHF条件だけの比較で、取引の成立や安全性を保証しません。返済額200ドルは借りた資産で返す額の換算値であり、任意の資産を200ドル分送れば返済になる意味ではありません。

「供給残高がある」と「自由に全額引き出せる」は違う

返済時には、借りた資産と現在の借入数量を確かめます。

借入利息が増えたり、価格が変わったりすると、上の計算も変わります。

借入を残したまま全担保を回収することは、この仕組みではできません。

実際には複数担保、資産ごとの清算しきい値、利用モード、市場の制限も関係します。

HFが1より大きくても、普遍的な安全値ではありません。

回収を考えるときは、現在だけでなく、回収後に残る担保・借入・費用を組にして読みます。

  • 借入の銘柄と残高、発生済み利息、返済に必要な手元資産を確認する。
  • 希望の回収量を引いた後のHFと、プールの流動性を別々に確認する。
  • 回収後に残るポジションを記録し、供給した元本だけで判断しない。

参照:Aaveの返済、Aave V3のwithdraw条件、HFの式と清算。

入口では「何を供給し、何を受け取るか」、出口では「何を返し、何をどれだけ回収できるか」を書き出します。

持分・流動性・担保条件を分けると、利回りの表示だけでは見えなかった制約を確認できます。

理解を確認する

答えを開く前に、ご自身の言葉で考えてみてください。取引や接続は不要です。

担保20万円、清算しきい値80%、借入10万円のHFは?

1.6です。20万円×80%÷10万円で計算します。仮定の例で、実際の清算条件や安全な数値を示すものではありません。

LPが開始時より増えていれば、ILは生じませんか?

生じる場合があります。

例ではLPが200ドルから約282.84ドルに増えても、そのまま保有した300ドルと比べると約17.16ドル少なくなっています。

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よくある疑問

ステーブルコインを貸せば値動きは気にしなくてよいですか

基準価格からの乖離や、円換算時の為替変動があります。

加えてコントラクトと引き出し条件も確認します。

価格の安定を目指す設計と、貸付元本の保証は同じではありません。

借りずに供給するだけでも清算されますか

ここで説明した担保付き借入の清算は、借入債務を抱えたポジションの仕組みです。

自分に借入がなくても、供給資産の値下がり、貸付市場の損失や流動性不足などは残ります。

別の商品が内部で借入を使う場合もあるため、戦略を確認してください。

表示年率が高い順に選べばよいですか

年率の算出期間、報酬の種類、複利の前提、費用、引き出し条件が異なります。

同じ前提にそろえても、将来の金利や価格は確定しません。

数字を比較する前に、何を引き受ける対価なのかを説明できることが重要です。

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次に読む

交換を理解したい方は、Uniswap公式資料の「Price Impact」と「Slippage」を見比べてください。

貸借を理解したい方は、Aave公式資料の「Withdraw Tokens」と「Health Factor & Liquidations」をセットで読むと、入金後の制約がつながります。

上のチェックリストを埋めるだけでも、実際に取引せずに理解を深められます。

本ページは一般的な仕組みの説明であり、個別の投資助言や収益の保証ではありません。

利用しないという判断も含め、ご自身で条件とリスクを確認してください。

必要なテーマを選んで読めます。取引・借入・配布への参加を進める必要はありません。

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