分割エントリーとナンピンの違い|スケール注文の前に決める3つのこと
買う価格を三つに分ければ、取引のリスクも小さくなるのでしょうか。平均価格を下げられても、数量が増えれば、さらに下がったときの損失は大きくなります。注文を分ける機能と、取引全体の損失を管理することは、別々に考える必要があります。
参照確認日:2026年10月3日(日本時間)
この記事の目次
読む前に:対象と前提
この記事では、分割エントリーとナンピンの重なりを整理し、架空のperp取引で平均価格・部分約定・費用を計算します。価格や数量は説明用で、推奨する設定ではありません。
分割エントリーとナンピンは、分類が重なる
分割エントリーは、一度に全数量を建てず、複数の注文や機会に分けてポジションを作る方法です。価格が上がる局面で追加する場合も、下がる局面で追加する場合もあります。
ナンピン買いは、保有後の値下がりに対して買い増し、平均購入価格を下げることです。この定義自体には「無計画」という条件はありません。事前に100・95・90ドルで買うと決めていても、100ドルで建てた後の下落で買い増すなら、分割エントリーとナンピンの両方に当てはまります。 計画の有無と、価格に対する追加の方向を分けて読みます。SMBC日興証券のナンピン買いの定義
HyperliquidのScaleは、指定した価格範囲に複数の指値注文を置く注文種類です。指値は指定価格か、それより有利な価格を条件にしますが、全数量が成立する保証はありません。Scaleという名前から、戦略の妥当性や安全性までは判断できません。Hyperliquid公式:Order types
定額積立との違い
DCA(ドルコスト平均法)は、値動きにかかわらず、一定の間隔で同じ金額を投じる考え方です。同額なら、価格が低いときほど買う数量が増えます。価格帯に注文を並べるScaleとは、追加する条件が「時間」か「価格」かという違いがあります。毎回同じ数量を買う方法も分割ですが、定額のDCAとは数量の決まり方が違います。積立という呼び名だけでperpの清算リスクがなくなることはありません。SEC Investor.gov:Dollar Cost Averaging
注文前に決める三つのこと
1.総数量と、費用を含めた総損失予算
一段目だけでなく、全注文が約定した場合の最大数量を決めます。その数量で予定の撤退価格まで動いたときの損失に、往復手数料、Funding、滑りの余地を加えます。追加するたびに上限を広げると、最初の予算は機能しません。
損失予算は、口座に入れた証拠金や選択したレバレッジと同じ数字ではありません。証拠金の余力が維持条件を下回れば、予定の撤退前に清算される場合があります。Hyperliquid公式:Liquidations
2.配置価格と、注文が残る条件
各段の価格・数量・注文の有効期間を記録します。価格を等間隔にしても、数量まで均等になるとは限りません。GTCは約定または取消まで板に残る指定です。部分約定後の未約定数量、停止中の注文、取消が成立したかも確認します。Hyperliquid公式:注文オプション
3.追加をやめる条件と、撤退する条件
「どの前提が崩れたら追加注文を取り消すか」「どの価格・状態で建玉を閉じるか」を分けて決めます。撤退時は、現在の建玉と残っている新規注文を両方確認します。決済のReduce-only指定は建玉を減らすための指定であり、別に置いた買い注文をすべて取り消す命令ではありません。Hyperliquid公式:Reduce Only
事前計画は安全保証ではありません。 発動条件を満たしても、損切りが想定価格で全約定するとは限りません。
架空の三段注文を、総数量で計算する
ここからは架空銘柄AのUSD建て線形ロングを扱います。数量は契約が参照するAの単位です。表の価格で新規約定し、予定の決済価格を85ドルと仮定します。先に清算されず、Fundingの受け払いはなく、担保価格の変動・入出金費用・税金は計算から除きます。実サービスの担保・決済通貨は公式仕様で確認してください。Hyperliquid公式:Contract specifications
表は横にスクロールできます。
| 段 | 新規約定価格 | 数量 | 価格×数量 |
|---|---|---|---|
| 1 | 100ドル | 1 A | 100ドル |
| 2 | 95ドル | 2 A | 190ドル |
| 3 | 90ドル | 3 A | 270ドル |
| 合計 | — | 6 A | 560ドル |
平均価格は、価格を数量で重み付けして計算します。
平均価格=(100×1+95×2+90×3)÷6≒93.33ドル
価格だけの平均(100+95+90)÷3=95ドルは、この例には使えません。各段の数量が同じときに、数量加重平均は価格の単純平均と一致します。手数料を含めるかは、画面の平均価格の定義も確認します。
85ドルで全決済した費用控除前の損益は、85×6−560=−50ドルです。一段目の1 Aだけなら、85−100=−15ドル。数量を決めた後に、損益へレバレッジを掛け直しません。平均価格は100ドルから約93.33ドルへ下がっていますが、同じ85ドルでの総損失は15ドルから50ドルへ増えています。
平均価格が下がっても、総損失は増える
1 Aだけなら平均100 USD/Aで損失15 USD。全6 Aでは平均約93.33 USD/Aへ下がっても、数量が増えるため損失は50 USDです。数量が1・2・3 Aと異なるので価格の単純平均95 USD/Aは使えません。
前提と費用の扱い:架空のUSD建て線形ロング。各表示価格で全約定し、85 USD/Aで全決済、先行清算なしと仮定。手数料・Funding・入出金費用・税金・担保価格変動を除外。平均価格や全約定・決済価格は保証されません。
部分約定と、手数料・滑りを分けて比べる
以下は、各ケースで未約定分を先に取り消し、残った建玉を85ドルで全決済した比較です。特定の相場経路や約定順を予測する表ではありません。
表は横にスクロールできます。
| 撤退時の約定分 | 総数量 | 数量加重平均 | 値動きだけの損益 |
|---|---|---|---|
| 1段目のみ | 1 A | 100ドル | −15ドル |
| 1・2段目 | 3 A | 約96.67ドル | −35ドル |
| 1・2段目+3段目の1 A | 4 A | 95ドル | −40ドル |
| 全3段 | 6 A | 約93.33ドル | −50ドル |
たとえば2段までなら、新規約定金額の合計は290ドル、決済金額は85×3=255ドルなので、255−290=−35ドルです。部分約定では、最初に入力した総数量ではなく、実際の約定数量で計算します。
取引手数料を新規・決済とも約定金額の0.05%と仮定します。これは現行料率ではありません。全約定なら、新規560×0.0005=0.28ドル、85ドル決済では510×0.0005=0.255ドル。費用控除後は−50.535ドル(約−50.54ドル)です。実際の料率はMaker/Takerなどで変わります。Hyperliquid公式:Fees
さらに、85ドルで撤退するつもりが84ドルで全約定したとします。値動きの損益は84×6−560=−56ドル、往復手数料は0.28+504×0.0005=0.532ドル。最終損益は−56.532ドル(約−56.53ドル)です。84ドルの実約定価格に滑りを反映したため、滑り分の6ドルをもう一度引きません。
総損失予算を仮に60ドルと置いても、それは上限保証ではありません。83ドルで決済すれば、同じ仮定で費用込み約62.53ドルの損失となり、予算を超えます。撤退価格を近づければ必ずその範囲に収まる、という計算にはできません。
決済後も残る注文と、損切りの数量を確認する
一段目を建てた後、97ドルで撤退しても、95・90ドルの買い注文が残っていれば、その後の下落で新しい建玉ができる可能性があります。建玉がゼロになったことと、新規注文がゼロになったことを別々に確認します。
建玉ゼロと、残注文ゼロは別
100 USD/Aで買った1 Aを97 USD/Aで閉じても、新規買い注文が残れば後に別の建玉ができる場合があります。残る2 Aと3 Aが両方約定した仮定では、合計5 A、平均92 USD/Aです。
前提と費用の扱い:架空のUSD線形契約の状態比較。残注文は通常の新規買いGTC。OCOによる連動取消を仮定せず、取消処理の成立確認まで含みます。現物の受渡し・新たな約定・値動きは保証されません。金額の損益計算を行わない図で、費用は表示していません。
Hyperliquidでは、TP/SLの発動にマーク価格を使います。特定数量を指定した損切りは、後から建玉を増やしても自動で数量が増えるとは限りません。また、親注文が部分約定した後に手動で取り消すと、その親に付けたTP/SLも取り消される仕様です。残った建玉の決済注文を確認する必要があります。これらはHyperliquidの確認日現在の仕様で、他サービスへ一律に当てはめません。Hyperliquid公式:TP/SLの数量・部分約定の扱い
注文前には、「全約定なら何 Aになるか」「どの条件で追加を止めるか」「残注文と建玉をどう終えるか」を説明してみてください。平均価格を下げることより、取引を終えるまでの数量と損失を追えることが大切です。
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証拠金・Funding・清算から確認したい方は、perpDEXの基礎ガイドへ。

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